『言いなりにならない江戸の百姓たち』~ 幸谷村酒井家文書から読み解く №496.

更新日:2022/12/26
掲載日:2022/02/11

  江戸時代の時代劇で お百姓さんが主人公のドラマはめったにない。たいていは 武士 町人である。 だが 人口のほとんどは百姓。{百姓は 殺さぬように 生かさぬように}武士階級に 唯々 服従するだけの 土地に縛られた 存在とのイメージが強かった。 
本書を読むと お百姓のイメージが 大きく 変わる。 しかも 舞台が 松戸。 常磐線新松戸駅ホームから
見渡せる 幸谷(こうや)台地。
幸谷村酒井家の古文書から びっくりの 江戸の百姓の生きざまが ビビットに伝わる。
  驚きその1 領主から年貢を一括請負 個々の分担は お百姓さん達が 自主的にきめていた・・村請負制。
  驚きその2 水利をめぐる対立など 訴訟では 決定的判決をまつことなく 和解する知恵。
  驚きその3  ものいう百姓~領主家の財政再建に対する提案と 領主に対し その家臣中間管理職の罷免の要求など。
江戸時代の百姓は 無知・無学の民ではなかった。必要な文章を きちんと作成し 保存 さらに 積算・精査する力がある。自主的問題解決能力のある民衆だったことが わかる。 そのことを 今に伝えてくれるのは 旧家の蔵にある 古文書。
  本書では 江戸時代の村の仕組みをわかりやすく解説し 幸谷村酒井家の古文書を 原文・読み下し文・現代語訳・解説と 展開。古文書から見えてくる ミラクルな世界に 我々を 導いてくれる 親切な入門書である。(藤)

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