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講演会報告:「奥井コレクションで学ぶ先史・古代のイラン」西村広経学芸員、終わる

更新日:2022/12/26
掲載日:2022/05/26

 5月21日(土)午後、博物館講堂で、開催中の{イランの技とデザイン—奥井コレクション展}(6/12・日まで)に関連する講演会が開かれました。当「友の会」との共催でしたが、募集定員の40人は、市外からの関心者が目立ちました(写真1)。講師の西村広経学芸員は、2年前に、縄文時代の専門家として当館に就任されました。仕事として最初の公開展示は、今回のイランを中心にした奥井俊美氏寄贈の未公開の陶器類、300点余の資料展示を担当することになったそうです。"初めは、門外漢の分野でしたので、不本意でしたが資料の整理研究しているうちに、やってみると、なかなかおもしろく、≪今じゃ、専門は縄文とイラン工芸も!≫と、言いたくなりました!"と、あいさつへ。

1, 講演の最後に、今回のイランの収集品を扱う意義について、西村学芸員は{地域の歴史を外側からみることで、相対化できること。情報技術の発達で、松戸市立博物館所有の資料が国内・国外にも共有されていくこと。そのために、3Dモデルの作成や英語での発信も求められてきた!}と述べられました。
*資料展入場者の方には、受付にて『奥井コレクションのイスラーム陶器』(A4・30頁、カラー。花王芸術・科学財団美術展覧会等の助成、無料、写真2)を受け取ることができます。会場内にあるシート『こどもワークシート・どうぶつだいすき!イラン人』への回答者には、記念の缶バッチをもらえます!(大人の方でも!)。

2, 資料展示の会場の構成は、時代ごとの4部構成で、各時代のイランを特徴づける陶器類・装身具などの製作技術やデザインとその解説です。今回の講演は、そのうちの一番古い第1部の部分{いにしえの造形}とされる、銅石器時代からサーサーン朝時代、前5千年紀~7世紀までの時代です(写真3)。時代ごとに形や装飾の変化の解説と、関連した社会生活や政治史、経済にも触れられていきました。まずは、地図から、イランとは?へ。松戸~首都テヘランまでは西に7600kmという距離、高緯度乾燥帯のイラン高原・周囲の山岳地帯・温暖なカスピ海といった地形、陸海の交易ルートだった歴史の紹介。さらに、最近は歴史の「時間表記」がキリスト紀元BC/AD→BCE/CEへ置き換えが進んでいるとか、時代区分はデンマークの考古学トムセンが考案した先史時代を石器時代、青銅器時代、鉄器時代に分ける話へ。

3,長い歴史の中から、出土の場所、粘土・青銅・ガラスなどの素材がちがっていく様子を写真で紹介していきました。日本の縄文・弥生・古墳・奈良時代との年代比較のあとでした。
〇前5200年ごろ、銅の利用が開始され、前4千年紀の頃には南メソポタミヤ(イラク)のウルクやイラン南西部のスーサで都市が出現しだす。
〇前4千年紀に円筒印章が出現。容器等を封印するために使用された。都市化に伴い複雑な経済活動、活発な交易だった時代の現れと言える。
〇青銅器時代(前3千年紀~前15世紀-前13世紀)にはイランに国家が成立し、文字資料が出現。クリーム色スリップに黒の彩文、鳥のモチーフといった彩文土器が見られる。青銅器による斧・短剣などの武器類や量産された女性像も出る。
〇鉄器時代(前15世紀~前13世紀-前4世紀)に入ると、西アジア史上初めて「帝国」が出現。文献史ではエラム新王国・メディア・アケメネス朝に相当する時期。他民族の統合や権力を正当化する宗教体系が現れる。彩文土器は低調になり、ていねいな磨きのある土器となり、線刻がみられる。装身具としてのブレスレットとかピン・アンクレットがみられ、動物の形をとりこんだデザインが特徴へ。
〇サーサーン朝期(前3世紀~後3世紀)はペルシャ人の帝国。ガラス器とくにカットガラスの技術が発達し、交易路を通じて広域に分布。日本でも正倉院に収められた。
(聞き手・松尾)

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