記事コンテンツ
= 介護保険最新情報Vol.685 = 「QOL向上へ前向きな議論を」 頻回訪問介護、ケアプラン検証の手引きを通知
訪問介護の生活援助を多く位置づけたケアプランの届け出を義務付け、そのプランを地域ケア会議で検証していく新たな制度が今月から始まった。
厚生労働省は今週、地域ケア会議での他職種による話し合いを有意義に進めてもらう観点から作成した手引きを公表。市町村や地域包括支援センターの職員らに対し、内容を参考にするよう要請した。介護保険最新情報のVol.685で広く周知している。
介護保険最新情報Vol.685
「今回の見直しは、一定回数以上となったことをもって生活援助の利用を制限するものではありません」「検証は対象のケアプランを否定することを前提に行うものではありません」
厚労省は手引きにそう明記。自立支援や重度化防止、地域資源の有効活用といった観点から他にとるべきアプローチがないか他職種で議論し、より良いサービスが提供されるよう必要に応じて助言していく − 。そうしたケアマネジメント支援の一環だと改めて強調した。
10月1日から届け出が義務付けられたのは、生活援助の利用回数が「1ヵ月あたりの全国平均+2標準偏差」を上回るケアプラン(下表)。これを作成・変更したケアマネは、翌月の末日までに市町村へ提出しなければいけない。
この新ルールを「生活援助の回数上限の導入」と捉えている人が一部にいる。届け出をしなくて済む回数に敢えてとどめ、保険者によるダメ出しや事務作業の負担増を回避しよう − 。そんな“利用者置き去り”の意識が広がるという懸念の声も出ていた。
「回数の多さだけを問題視しないで」
厚労省は今回の手引きで、地域ケア会議の意義や機能、運営のポイント、高齢者の自立について考える際の留意点などを改めて解説。扱うケースに見合った専門職を招集するよう求めるとともに、「それぞれの専門性の観点から建設的な意見が出され、利用者のQOL向上を目指して全員で前向きな検討を行うことが重要」と呼びかけた。
また、「訪問回数が多いこと自体を問題視するのではなく、利用者が望む生活の維持やQOL向上に向けた訪問サービスの意義を十分に理解し、多職種の視点からより良い支援のあり方を検討することが重要」と説明。「地域ケア会議での協議内容は決定事項ではない。協議内容を踏まえて利用者への説明、合意形成など、利用者本位のケアマネジメントが重要」と念を押した。
このほか、「基本的に本人や家族に参加を求めることが有効」と指摘したうえで、個々の状況に応じて柔軟に判断するよう促した。扱ったケースを継続的にモニタリングしていくことも非常に大事、とも指導している。
配信元:介護のニュースサイト Joint